第38回医療情報学連合大会(福岡)に行ってきました【1】
先週、11月22日〜25日にかけて福岡国際会議場で開催された医療情報学会の学術大会に行ってきました。
現地に着いてみると人が沢山で「今回の学会はいつになく大盛況!?」と思ってたら大相撲九州場所が隣の会場で開催されていました。
それにしても、やはり福岡は美味しい食べ物が多い!沢山の美味しいものをいただき私史上最大に太ってしまいました。というのは置いといて今日以降、何回かの記事に分けて、簡単な報告と私の雑感をまとめてみます。
真剣に標準化の話
今回も数多くのセッションで標準化の話題が出てました。この医療情報システムの標準化という課題については、毎回語られているのですが、今回はいつにも増して演者の皆様の真剣さを感じた気がします。
その背景には、やはり電子カルテは導入するだけでなく、その蓄積データをいかに二次利用していくかがポイント、そのことは皆んな解ってるのにイマイチ上手くいかず、その理想と現実の間で皆んなモヤモヤしている。
しかもその上に、今後いよいよAIの活用可能性なんかも考えて行きたい。
そのためにはいかにキレイに構造化されたデータを持っているかが重要!というお話。
また地域医療連携、地域包括ケアを実現するためには共通の尺度で、共通の用語で情報共有できるように整備しなければ。
そういう思いが日に日に増しているが故の真剣味というのを皆様の発表からヒシヒシと感じたのです。
印象的だったのは、とあるセッションで語られていた「標準化すると医療の個別性が失われるのではないか」という意見(これホント医療情報あるあるですよね)に対して「標準化された記録のその向こう側が重要」「選択と組み合わせによる結果の相違が個別性であり具体性である」としていたお話。
これにはシビれました!これ相当イイお話ではないでしょうか。
そもそも言葉でも音階でも色彩とかでも何でも、あらゆる表現することには、そういった「型」があり、その上で本当に良いもの価値のあるものが生まれるのだと思うからです。
そう、あのゲーテも、
制限の中に初めて名人が現れる。そして法則のみが、われわれに自由を与えることができる
と言っています。
次世代電子カルテ
もうひとつ標準化に関わる話でエキサイティングだったのは、東京大学 大江先生が学会長講演の中で提唱された、そろそろ「次世代診療記録システム」否、もはや「次世代標準健康医療記録システム(通称 NeXEHRS)」を作りましょう!という話。
IoT、AI、NLP、音声認識、8K画像、5Gネットワーク、ブロックチェーンなどの技術をもっと活用した新たな健康医療記録の在り方を検討するとのことで、その基本コンセプトは、
- 患者主体原則・・・医療、福祉、健康、あらゆる機関をまたいだ1患者1カルテ
- 患者医療者間での情報共有原則・・・患者参加型システム
- 自他共栄原則・・・より良い医療のために仮名化した情報を安全に二次利用
- オープン共通プラットフォーム原則・・・開発プラットフォームは参加企業にオープンに
- 標準化原則・・・利用可能な医療情報標準、情報技術標準がある場合にはそれを利用する
という5原則の上に議論されるとのことです。
これまでにも幾度と唱えられてきた標準電子カルテですが、上記ような技術の進展とヘルスケアIT業界における新しいプレイヤーの台頭(後日詳しく記事にする予定)などを考えるといよいよ実現できるのではないかと思わせてくれるご講演でした。
そうできれば、その時代を生きることに、そしてその成果を子供たち世代に残せるのかと考えるとワクワクしますね。
という所で今日はここまでにしてイルミネーションが凄かった博多駅と、超美味しかったイカの活き造りの写真を。
今回の学会では、まだまだ良いお話がたくさん聞けたので、近日中にまた次回の投稿します。
ここまで読んでいただきありがとうございました。